『スガンさんのやぎ』 ドーデー・作 文・岸田衿子 絵・中谷千代子
『スガンさんのやぎ』
ドーデー・作
文・岸田衿子
絵・中谷千代子
やぎが好きなスガンさん。今まで6匹のやぎに逃げられています。
そして、7匹目の若い雌のやぎ、
ブランケットのお話です。
柔らかい草の生えた安全なお庭で、スガンさんに大事にされているブランケットでしたが、ある日遠くの山に気がつきます。
「スガンさんがむこうへいくと、ブランケットは、ぴょおんととびはねて、まどからにげだしました。」
「なわもかこいもない、できるだけとびはねました。たべたいだけくさをたべました。」
「あまくてとろけそうなくさも、ぱりぱりしたくさも、いいにおいのするのも。
それになんていろんなはながあるのでしょう。つゆにぬれていきいきしたはなが。」
「おおかみのうなりごえが、ちかづいてきます。
ブランケットはかえりたくなりました。でもあのちいさなにわのことをおもいだしてやっぱりここにいることにきめました」
やぎが何匹でかかっても狼を殺すことにはならない、でも私のツノだって、と勇気を出してぶつかっていくブランケット。もうだめかな。逃げようかな。どうせ食べられるなら…と心の複雑な葛藤も表現されています。
でも「よがあけるまで がんばろう」という選択をした勇ましさには圧巻です。
自分がどう生きるかを自分で決め、気持ちに嘘をつかなかったブランケット。
意志の強さを感じます。