『ほんやねこ』
　石川えりこ
　講談社

ほんやのねこは
さいごの　ちいさなおきゃくさまを　おみおくりしたら　
きょうは　はやめに　みせじまい。（本文より）

本屋のねこは、その日いそいそとエプロンを外して出かけたので、
窓を1箇所閉め忘れてしまいました。

その後窓から強い風がお店に吹き込んで、
棚の絵本がパラパラとめくれたので、さあ大変。
“ものがたりのひとたち“は…

この本屋のねこさん、
仕事の後にはいつもの野原で
ゴロリと寝転んで体をほぐしてけづくろい…
カマキリやてんとう虫たちと、
普段からお話をしていたり、
そして夜は、
本棚の一番上にある毛布の中でくるりと丸くなって、
月を見ながら眠るのだそう。

なんだかとっても
いい雰囲気の本屋さんと、
ほんやねこ。

グリム童話の主人公たちが本から抜け出してする冒険も、
クスッと笑ってしまう面白さがあり、
ほんやねこからも目が離せません。

石川えりこさんの描く挿絵と、
この世界が素敵です。