セミ CICADA ショーン・タン SHAUN TAN / 岸本 佐知子 訳/ 河出書房新社 / 28×22cm
セミ 高い ビルで はたらく
しごと データ 入力。17ねんかん。
けっきん なし。 ミス なし。
トゥク トゥク トゥク!
(本文より)
ショーン・タンさんからのメッセージ
『セミ』は、オフィスで働く一匹の虫と、彼を愛さない人間たちをめぐるお話です。
わずか32ページの、ごくシンプルな絵本です。
奴隷のような会社員生活の、言葉にならない恐怖についての……
いや、本当にそうでしょうか?
虫が何を考えているかは誰にもわかりません。
『セミ』のアイデアが浮かんだのは、2005年ごろベルリンに行ったときでした
もっとも、いつ、どこでかは、この際そう問題ではありません。
私は見上げるようにそびえたつ灰色のオフィスビルを眺めていました。
びっしりと並ぶ何百という灰色の窓の中で一つ、たった一つだけ、窓ぎわに誰かが真っ赤な花の鉢植えを出して日に当てているのが見えました。
そのとき友人に冗談めかしてこう言ったのを覚えています
あの中ででっかい虫が働いているんじゃないかな、ハチかなんかがさ。
それ以来、無機質なオフィス空間にまぎれこんだ場ちがいな生き物の姿を見るたび、
その考えが浮かぶようになりました。
ぽつんと一つだけ置かれた鉢植えや、誰かが職場に連れてきた犬や猫、
迷いこんだスズメ、そしてもちろん、窓ガラスに何度も体当たりして外に出ようともがく哀れな虫。
(著者からのメッセージ・河出書房新社のサイトより抜粋)
昆虫のセミは幼虫から地下生活をする。
幼虫時代は3年から17年。
セミの幼虫は地中生活で人目に触れず、また成虫は飼育が難しいので、
その生態について十分に調べられているとは言えない。(セミについてWikipediaより抜粋)
ぜひこの絵本を手にとって、
ショーン・タンさんの世界に触れて見てください。
何度も何度も見直したくなる絵本です。