紙のむすめ ナタリー・ベルハッセン 文 ナオミ・シャピラ 絵 もたいなつう 訳 光村教育図書 22×22cm
『紙のむすめ』
ナタリー・ベルハッセン 文
ナオミ・シャピラ 絵
もたいなつう 訳
光村教育図書 22×22cm
白い紙の丘にある、
屋根も窓も白い紙でできた小さな家に、
白い紙から生まれた、
むすめがひとり住んでいた。
ある日むすめのところに、
白い大きな紙がビューッと飛んできた。…
むすめが自ら、自分の進む道を、はさみで切り開いていく様が、
美しい切り絵のスタイルで描かれている。
人生は、自分で見出し、自分で進んでいくものであり、
勇気を持って行動した時に、
自分にとって大事なものや、
かけがえのない大切な人に巡りあう。
そして物事が予想もしなかった方向に好転する…
というようなメッセージを感じる素敵な絵本。
ラストは、新しい人生が、幸せが、
ここからスタートすると予想させる、
微笑ましい切り絵の場面で終わる
素敵な絵本。
文 ナタリー・ベルハッセンさん
1983年、イスラエルのテルアビブ近くの町、クファルサバに生まれる。大学で生物学と文学を学び、大学院で文学を修める。子どもの頃から児童文学作家になることを夢見ていた。この絵本はデビュー作で、ナオミの切り絵芸術を紹介するとともに、夢を叶えるとからや自分を実現させていく力、世界を創造する力を誰もが持っているということ、また、愛する人と夢を語り合うことの素晴らしさを伝えたかったという。
絵 ナオミ・シャピラ
1963年、イスラエル北部のキブツに生まれる。9歳の頃から切り絵技法を学び、以来40年以上この芸術を極めてきた。
グラフィックデザイナー。ワークショップや学習障害児へのセラピーとして切り絵を教えている。
「切り絵は芸術的にも、哲学的にもとても奥深いものです。紙を切るという単純な作業から生まれる素朴な芸術ですが、何を切り抜き、何を残すかという選択を重ねて絵を完成させます。それは人生と同じようなもの。何を選び取り、何を捨てるか。失った部分がより鮮明に絵を際立たせるのです」
と語っている。
訳 もたい なつう さん
長野県に生まれる。キブツの教育を研究する目的でイスラエルへ留学。現地で学ぶうちにヘブライ文学に魅せられ翻訳論を研究。ヘブライ大学文学部修士課程実用言語コース修了。訳に「くじらの歌」「父さんの手紙ぜんぶおぼえた」など多数。