『わたし、お月さま』 文・青山七恵 絵・刀根里衣 NHK出版 30x22cm
『わたし、お月さま』
文・青山七恵
絵・刀根里衣
NHK出版
わたし、お月さま。
三日月も半月もいいけれど、満月のとき、
わたしはとってもすてきでしょう?…
でもときどき、ちょっとさびしい。
「地球ってきれいだね」ってわたしが言っても、
「うん、きれいだね」って、だあれも答えてくれないから。…(本文より)
お話には、ずっとずっと昔から私たちが暮らす地球を、
ぐるぐるぐるぐるひとりで回っている、
お月さま「わたし」の気持ちがいっぱい溢れています。
そんな「わたし」には、唯一、
ずっと前に訪ねてきてくれた、
宇宙飛行士さんと一緒に地球を眺めて、
「きれいね」「きれいだね」と言い合った
素敵な思い出がありました。
「わたし」は、ひゅーん!!と小さくなって、
宇宙飛行士さんに会いに
地球に飛んでいってしまいます。
表紙の銀色で描かれたタイトルと、
イラストもとても美しく。
お月さまである「わたし」の発する言葉の一言一言には、
「孤独」もあるけれど、
その奥ににキラキラとした
煌めくものを感じます。
自分のことを「わたし」、
読み手に「あなたたち」とのお月さまの語りかけに、
すっかりその世界に引き込まれて。
「もう、少しるすにしたくらいで、
まったくあなたたちっておおげさね。
わたし、ほんのちょっぴり、
ぼうけんがしてみたかっただけよ。
きょうは朝まで、
たっぷりひかっていてあげる。
あしたもあさっても、
ずっとずっと、ここでひかっているわ。」…
(本文より)