おとうさんのちず ユリ・シュヴィッツ 作 さくま ゆみこ 訳 あすなろ書房 26x26cm
せんそうで あちこちが ひのうみに なり
たてものが くずれおちると
ぼくのかぞくは なにもかもうしなって
いのちからがら にげだした (本文より)
寝るのは土を固めた床の上
おもちゃも本もなかった
食べるものも足りなかった…
そんな中で、ある日のこと
パンを買いに市場に出かけたお父さんが
帰ってきて言った言葉は
「ちずをかったぞ」
そう、買ってきたものは大きな世界地図でした。
食べ物ではないものを買ってきたお父さんを
恨めしく思った、家族やぼく でしたが…
次の日、お父さんが壁に地図を貼ると
暗い部屋に色が溢れます。
そして ぼくは、何時間でも飽きずに眺めたり
細かいところを見入ったり
かみに書き写したりもしたのでした。
ぼくは、パンを買わなかったお父さんを
許した。
やっぱり お父さんは 正しかったのだ。
一枚の世界地図が
ぼく にくれた
魔法の時間。