『なみのむこうに』 ブリッタ・テッケントラップ 作 三原泉 訳 BL出版
『なみのむこうに』
ブリッタ・テッケントラップ 作
三原泉 訳
BL出版
たったひとりで小さな船に乗っているエラという女の子。
船は深くて暗い海にぽつんと浮かんでいて、周りに広がっているのは暗闇ばかり。
そんな中、船の前に空に届くほどの大きな波が湧き起こります。
「どうやってすすめばいいの?どこへむかえばいいの?」
大きな波の後には、海で生きる動物たちが順番に現れて、エラの不安な心に寄り添い、言葉を掛けてくれます。
「海はね、くらくて おそろしい場所にもなるけれど、あたらしい岸べに つれていってもくれる。長いこと 世界の海をおよいできたから わかるけど、あなたは ひとりで旅しているわけじゃないのよ。そのうち わかるわ」
「波なんで気にしてはだめ。大事なのは海そのものと、エラ、そう、あなたよ」
くじらが言葉をかけてくれます。
“思ってもいなかったほど美しい場所へ、
どんなことでもできるかもしれない場所へとみんな向かっている…“
そう、ひとりぼっちじゃなかった…。
不安な心に優しく寄り添い希望を感じさせてくれます。